フェブラリーステークスからの考察
昨年から高松宮記念も他のG1レースと同様に、4歳以上の牡馬と騙馬には58㎏の斤量、4歳以上の牝馬には56㎏の斤量が課せられるようになった。
まずは、最初に行われた今年のフェブラリーステークスから考えてみる。
16頭立てで行われた今年のフェブラリーステークスを制したのは、11人気の6歳牡馬のペプチドナイルだった。
ペプチドナイルは、前年の12月に行われたリステッド競走のベテルギウスステークス(阪神1800m・特指・別定)で59㎏斤量を背負い、1着になっている。
ベテルギウスステークスを勝利した後、ペプチドナイルは東海テレビ杯東海ステークス(京都1800m・指定・別定)に57㎏斤量で出走し、3人気で6着に終わっている。
ペプチドナイルは、G1初出走の馬で、重賞も勝っていない馬だったが、フェブラリーステークスで課せられる58㎏斤量をクリア(1年以内)し、フェブラリーステークスのステップレースに出走していた馬だといえるだろう。
また、ペプチドナイルの同枠馬のタガノビューティーは、前年3月に行われたリステッド競走のコーラルステークス(阪神1400m・特指・ハンデ)に58㎏斤量で出走して1着になっている馬で、57㎏斤量で出走した東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(東京1600m・指定・別定)で2着になっている馬であるので、ペプチドナイルのサポート馬として機能したのだろう。
今年のフェブラリーステークスで2着になったガイアフォースは、5人気の5歳牡馬。
ガイアフォースは、前年4月に行われた読売マイラーズカップ(京都芝1600m・指定・別定)で58㎏斤量で出走して2着に連対した後、安田記念4着、産経賞オールカマー5着、天皇賞(秋)5着、チャレンジカップ6着の成績を残していた馬。
ガイアフォースは、ダート戦初出走の馬だったが、フェブラリーステークスで課せられる58㎏斤量をクリア(1年以内)し、フェブラリーステークスのステップレースに出走していなかった馬だといえるだろう。
今年のフェブラリーステークスで、連対禁止の3着席についたのは、ガイアフォースの同枠馬のセキフウ。
セキフウは、前年6月に行われたリステッド競走の大沼ステークス(函館1700m・特指・別定)に59㎏斤量で出走し、2着になっていた馬。
なお、セキフウが2着に敗れた大沼ステークスの1着馬は、今年のフェブラリーステークス優勝馬のペプチドナイルだったので、大沼ステークスの1着馬と2着馬が枠でフェブラリーステークスに連動したということである。
さて、今年のフェブラリーステークスは、58㎏斤量を1年以内にクリアした2頭での決着となっている。
高松宮記念2024の登録馬で、1年以内のレースで58㎏斤量(牝馬は56㎏斤量)を背負って、連対していたのは、ウインカーネリアン(東京新聞杯で58㎏斤量を背負い2着)、ウインマーベル(阪神カップと阪急杯で58㎏斤量を背負い1着)、シュバルツカイザー(カーバンクルステークスで58㎏斤量を背負い1着)、トウシンマカオ(京阪杯で58㎏斤量を背負い1着)、ナムラクレア(京都牝馬ステークスで56㎏斤量を背負い2着)、ビッグシーザー(淀短距離ステークスで58㎏斤量を背負い1着)、マッドクール(スプリンターズステークスで58㎏斤量を背負い2着)、ママコチャ(スプリンターズステークスで56㎏斤量を背負い1着)、モリノドリーム(2勝クラス・函館日刊スポーツ杯で56㎏斤量を背負い1着)といったところ。
高松宮記念2024の出馬表
23頭が登録及び招待された高松宮記念2024だったが、 アサカラキング、キミワクイーン、グランデマーレ、クリノガウディー、モリノドリームが除外され、18頭立てのフルゲートで行われるようになった。
枠 | 馬番 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 調教師 | 馬主 |
1枠 | 1番 | ビッグシーザー | 牡4 | 58.0kg | 吉田 隼人 | 西園 正都 | 幅田 昌伸 |
1枠 | 2番 | マッドクール | 牡5 | 58.0kg | 坂井 瑠星 | 池添 学 | (有)サンデーレーシング |
2枠 | 3番 | ナムラクレア | 牝5 | 56.0kg | 浜中 俊 | 長谷川 浩大 | 奈村 睦弘 |
2枠 | 4番 | モズメイメイ | 牝4 | 56.0kg | 藤岡 佑介 | 音無 秀孝 | (株)キャピタル・システム |
3枠 | 5番 | トウシンマカオ | 牡5 | 58.0kg | C.ルメール | 高柳 瑞樹 | (株)サトー |
3枠 | 6番 | ルガル | 牡4 | 58.0kg | 西村 淳也 | 杉山 晴紀 | 江馬 由将 |
4枠 | 7番 | テイエムスパーダ | 牝5 | 56.0kg | 富田 暁 | 木原 一良 | 竹園 正繼 |
4枠 | 8番 | ソーダズリング | 牝4 | 56.0kg | 武 豊 | 音無 秀孝 | (有)社台レースホース |
5枠 | 9番 | シャンパンカラー | 牡4 | 58.0kg | 吉田 豊 | 田中 剛 | 青山 洋一 |
5枠 | 10番 | ビクターザウィナー | せん6 | 58.0kg | K.リョン | C.シャム | Y.チュウ |
6枠 | 11番 | メイケイエール | 牝6 | 56.0kg | 池添 謙一 | 武 英智 | 名古屋競馬(株) |
6枠 | 12番 | ロータスランド | 牝7 | 56.0kg | 岩田 康誠 | 辻野 泰之 | (同)小林英一ホールディングス |
7枠 | 13番 | ウインカーネリアン | 牡7 | 58.0kg | 三浦 皇成 | 鹿戸 雄一 | (株)ウイン |
7枠 | 14番 | ママコチャ | 牝5 | 58.0kg | 川田 将雅 | 池江 泰寿 | 金子真人ホールディングス(株) |
7枠 | 15番 | ディヴィーナ | 牝6 | 56.0kg | M.デムーロ | 友道 康夫 | 佐々木 主浩 |
8枠 | 16番 | ウインマーベル | 牡5 | 58.0kg | 松山 弘平 | 深山 雅史 | (株)ウイン |
8枠 | 17番 | マテンロウオリオン | 牡5 | 58.0kg | 横山 典弘 | 昆 貢 | 寺田 千代乃 |
8枠 | 18番 | シュバルツカイザー | せん6 | 58.0kg | 大野 拓弥 | 大竹 正博 | ゴドルフィン |
高松宮記念当日に、引退式を行うメイケイエールは6枠11番、外国馬のビクターザウィナーは5枠10番に配置された。
外国馬出走からの考察
高松宮記念がG1になってから、外国馬が出走してきたのは、2003年、2015年、2018年の3回しかない。
2003年高松宮記念には、ディスタービングザとエコーエディという2頭の外国馬が出走していた。
18頭立てで行われた2003年高松宮記念の1着馬は、1枠1番に配置されていた5歳牝馬のビリーヴ。
ビリーヴは、阪神1200mのセントウルステークスをレコードで勝った後、新潟開催だった2002年スプリングステークスでも1着、その後は香港スプリント12着、阪急杯9着という成績を残していた。
2003年高松宮記念の2着馬のサニングデールは、中京1200mの別定戦であるCBC賞を勝った後、 シルクロードステークス3着(1着同枠)、阪神1200mの阪急杯で2着になっていた4歳牡馬で、ビリーヴの対角配置となる8枠18番にいた馬。
3着になったリキアイタイカンは、前年のマイルチャンピオンシップの3着馬で、シルクロードステークス5着からの出走だった。
2015年の高松宮記念は、外国馬のエアロヴェロシティが1着。
エアロヴェロシティは、前年の香港スプリントを勝った後、チェアマンズスプリントプライズで2着になっていた7歳騙馬。
2015年高松宮記念で2着になったハクサンムーンは、2013年スプリンターズステークスの2着馬で、前走の夕刊フジ賞オーシャンステークスで、2着に敗れていた6歳馬。
2015年高松宮記念で3着になったミッキーアイルは、2014年のNHKマイルカップの1着馬で、前走は阪神1400mの阪急杯で2着になっていた4歳馬。
2018年の高松宮記念には、ブリザードという7歳騙馬の外国馬が出走していた。
2018年高松宮記念の1着馬は、5歳馬のファインニードル。
ファインニードルは、2017年産経賞セントウルステークスで1着になった後、2017年スプリンターズステークスで12着、2018年シルクロードステークスで1着になっていた馬。
2018年高松宮記念の2着馬は、2015年桜花賞馬のレッツゴードンキ。
レッツゴードンキは、前年のスプリンターズステークスで2着になった後、香港スプリント6着、フェブラリーステークス5着だった6歳牝馬。
2018年高松宮記念の3着馬は、レッツゴードンキの同枠馬のナックビーナス。
ナックビーナスは、中山1200mのカーバンクルステークスを勝った後、シルクロードステークス5着、夕刊フジ賞オーシャンステークス2着だった5歳牝馬。
外国馬が出走してきた2003年、2015年、2018年の高松宮記念は、G1馬が連対している。
また、2003年高松宮記念2着馬のサニングデールが阪急杯2着、2015年高松宮記念2着馬のハクサンムーンが夕刊フジ賞オーシャンステークス2着、2018年高松宮記念1着同枠馬のダイアナヘイローが阪急杯1着とステップレースでの連対歴があったことは気になる。
結論
高松宮記念2024の出走馬で、G1タイトルを獲得している馬は、ビクターザウィナー、ママコチャ、シャンパンカラーの3頭。
ビクターザウィナーとシャンパンカラーの2頭が同枠になっていることからも、この枠は非常に気になる。
ただ、ビクターザウィナーが、1年以内に58㎏斤量をクリアしたのはハンデ戦なので、微妙な感じがする。
さて、今回の軸だが、ビッグシーザー(マッドクール)を軸にしたいと思う。
外国馬が出走した2003年高松宮記念2着馬のサニングデールが阪急杯2着馬、同じく外国馬が出走した2015年高松宮記念2着馬のハクサンムーンが夕刊フジ賞オーシャンステークス2着馬、同じく2018年高松宮記念2着同枠兼3着馬のナックビーナスが夕刊フジ賞オーシャンステークス2着馬であることから、夕刊フジ賞オーシャンステークス2着馬のビッグシーザーは連対の型を持っていると思う。
同じ高松宮記念のステップレースである阪急杯2着馬のアサカラキングが除外になっているのも、ビッグシーザーには追い風になっているのでは。
そこで、ビッグシーザー(マッドクール)からビクターザウィナー、ママコチャ、シャンパンカラーの3頭に流してみたいと思う。