皐月賞2025(第85回)の考察

桜花賞、皐月賞、NHKマイルカップ、優駿牝馬、東京優駿は、昨年、定量戦から馬齢戦に変更された。

 

そして、馬齢戦変更初年度の昨年、皐月賞は除外馬を発生させている。

 

皐月賞で除外となったダノンデサイルは、3歳G1の頂点である東京優駿を制したが、昨年の皐月賞馬のジャスティンミラノは東京優駿で2着に敗れた後、屈腱炎を発症し、引退に追い込まれている。

 

異例ずくめだった昨年の牡馬3歳クラシックから1年経ち、今年の皐月賞が始まる。

 

今年の皐月賞は、どの馬が覇者となるのだろうか?

重賞競走の変更からの考察

昨年、5回中山9日に行われていたホープフルステークスが、今年は5回中山7日に行われることが発表されている。

 

また、昨年、5回東京5日開催だった東京スポーツ杯2歳ステークスが、今年は5回東京6日(土→休・月)開催となっている。

 

ホープフルステークスは、G1に昇格した2017年以降、2020年を除き、5回中山9日に行われていたレース。

 

そして、東京スポーツ杯2歳ステークスは、G2に昇格後、5回東京5日で行われているレースで、G2化されてから、初の5回東京6日開催となる。

 

2020年に行われたホープフルステークスは、今年と同じ5回中山7日に行われたレースで、2020年に行われた東京スポーツ杯2歳ステークスは、5回東京5日から5回東京7日に日程移動があったレースである。

 

つまり、ホープフルステークスと東京スポーツ杯2歳ステークスという観点で見れば、今年と2020年は似ていることになる。

 

まずは、2020年皐月賞の結果を見てみる。

 

2020年皐月賞(18頭立て)

1着 コントレイル 牡3 57㎏ 1枠1番(逆18番)福永祐一騎手 1人気

2着 サリオス 牡3 57㎏ 4枠7番(逆12番)レーン騎手 3人気

3着 ガロアクリーク 牡3 57㎏ 8枠16番(逆3番)ヒューイットソン騎手 8人気

 

2020年皐月賞を制したのは、1人気のコントレイル。

 

コントレイルは、 阪神1800mの2歳新馬戦、東京1800mの東京スポーツ杯2歳ステークス、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスを3連勝した後、皐月賞のステップレースに出走せず、皐月賞に直行してきたノースヒルズ生産の馬。

 

コントレイルの同枠のレクセランスは、京都1800mの2歳新馬戦、京都2000mの3歳1勝クラスの福寿草特別、 阪神2200mのリステッド競走のすみれステークスを3連勝し、皐月賞に直接出走してきた9人気の馬。

 

2着に入ったサリオスは、東京1600mの2歳新馬戦、東京1600mのサウジアラビアロイヤルカップ、阪神1600mの2歳G1の朝日杯フューチュリティステークスを3連勝し、皐月賞に直行してきたノーザンファーム生産、シルクレーシングが馬主の馬。

 

サリオスの同枠のウインカーネリアンは、2戦目の福島1800mの2歳未勝利戦で初勝利を挙げた後、6戦目の報知杯弥生賞ディープインパクト記念で8着に敗れ、皐月賞の優先出走権を獲得できなかったものの、中山1800mの3歳1勝クラスを勝利し、賞金を加算して、皐月賞出走が叶ったブービー人気の馬。

 

3着に入ったガロアクリークは、東京2000mの2歳新馬戦1着、中山2000mの2歳G1のホープフルステークス11着、中山2200mの3歳1勝クラスの水仙賞4着の後、フジテレビ賞スプリングステークスに出走して1着となり、皐月賞に優先出走権で出走してきた馬。

 

2020年皐月賞で連対した2頭と同枠馬は、皐月賞の指定レースで優先出走権を獲得していなかった馬である。

 

ただし、ホープフルステークスと朝日杯フューチュリティステークスで1着になった地方馬は、皐月賞に優先的に出走できるので、コントレイルとサリオスは地方馬優先出走ルートを使ってきたといえるだろう。

 

今年の皐月賞に登録してきたクロワデュノールは、2020年皐月賞馬となったコントレイルと似た戦歴を持つ馬である。

皐月賞2025の出馬表

皐月賞2025の登録馬は21頭。

 

21頭の登録馬のうち、ローランドバローズが回避、アスクシュタインとマテンロウバローズが除外され、18頭立て(フルゲート)となっている。

馬番 馬 名 性齢 斤量 騎手 調教師 馬主
1枠 1番 ニシノエージェント 牡3 57.0kg 津村 明秀 千葉 直人 西山 茂行
1枠 2番 エリキング 牡3 57.0kg 川田 将雅 中内田 充正 藤田 晋
2枠 3番 キングスコール 牡3 57.0kg 藤岡 佑介 矢作 芳人 DMMドリームクラブ(株)
2枠 4番 ジュタ 牡3 57.0kg 坂井 瑠星 矢作 芳人 (株)ラ・メール
3枠 5番 ジョバンニ 牡3 57.0kg 松山 弘平 杉山 晴紀 KRジャパン
3枠 6番 マスカレードボール 牡3 57.0kg 横山 武史 手塚 貴久 (有)社台レースホース
4枠 7番 フクノブルーレイク 牡3 57.0kg 松岡 正海 竹内 正洋 福島 祐子
4枠 8番 ジーティーアダマン 牡3 57.0kg 岩田 望来 上村 洋行 田畑 利彦
5枠 9番 ピコチャンブラック 牡3 57.0kg 石橋 脩 上原 佑紀 石部 美恵子
5枠 10番 クロワデュノール 牡3 57.0kg 北村 友一 斉藤 崇史 (有)サンデーレーシング
6枠 11番 ミュージアムマイル 牡3 57.0kg J.モレイラ 高柳 大輔 (有)サンデーレーシング
6枠 12番 ドラゴンブースト 牡3 57.0kg 丹内 祐次 藤野 健太 水谷 美穂
7枠 13番 アロヒアリイ 牡3 57.0kg 横山 和生 田中 博康 鈴木 剛
7枠 14番 カラマティアノス 牡3 57.0kg 戸崎 圭太 奥村 武 (有)サンデーレーシング
7枠 15番 ヴィンセンシオ 牡3 57.0kg C.ルメール 森 一誠 (有)キャロットファーム
8枠 16番 サトノシャイニング 牡3 57.0kg 西村 淳也 杉山 晴紀 里見 治
8枠 17番 ファウストラーゼン 牡3 57.0kg 杉原 誠人 西村 真幸 宮崎 俊也
8枠 18番 マジックサンズ 牡3 57.0kg 佐々木 大輔 須貝 尚介 (有)サンデーレーシング

5枠はキタサンブラック産駒が集まった枠、2枠は矢作芳人厩舎の管理馬が集まった枠となっている。

若葉ステークス2着馬不在からの考察

若葉ステークスで2着に入り、皐月賞への優先出走権を獲得していたローランドバローズが、挫跖のため出走を回避した。

 

馬齢表記が変更された2001年以降で、若葉ステークス2着馬が不在の皐月賞は、2017年、2019年、2022年、そして、今年の4回。

 

2017年皐月賞(18頭立て)

1着 アルアイン 牡3 57㎏ 6枠11番(逆8番) 松山弘平騎手 9人気

2着 ペルシアンナイト 牡3 57㎏ 4枠7番(逆12番)M.デムーロ騎手 4人気

3着 ダンビュライト 牡3 57㎏ 5枠10番(逆9番)武豊騎手 12人気

 

2017年皐月賞の1人気は、デビュー戦からフラワーカップまで3連勝してきた牝馬のファンディーナだったが、ファンディーナは7着に敗れている。

 

2017年皐月賞を制したのは、9人気のアルアイン。

 

アルアインは、京都1600mの2歳新馬戦と阪神1600mの2歳500万下条件戦の千両賞を連勝した後、京都1600mの日刊スポーツ賞シンザン記念で6着、阪神1800mの毎日杯で1着になっていたサンデーレーシングが馬主の3勝馬。(皐月賞のステップレースは使っていない馬)

 

アルアインの同枠のアメリカズカップは、京都1800mのきさらぎ賞を勝った後、皐月賞に直行していた馬。

 

2017年皐月賞で2着に入ったペルシアンナイトは、京都1600mの日刊スポーツ賞シンザン記念で3着に敗れた後、阪神1600mのアーリントンカップを勝って、皐月賞に直行してきた追分ファーム生産の3勝馬。

 

ペルシアンナイトの同枠馬は、1人気の牝馬のファンディーナ。

 

3着に入ったダンビュライトは、報知杯弥生賞で3着になり、皐月賞の優先出走権を獲得していたサンデーレーシングが馬主の1勝馬。

 

2019年皐月賞(18頭立て)

1着 サートゥルナーリア 牡3 57㎏ 6枠12番(逆7番) ルメール騎手 1人気

2着 ヴェロックス 牡3 57㎏ 4枠7番(逆12番)川田将雅騎手 4人気

3着 ダノンキングリー 牡3 57㎏ 2枠4番(逆15番)戸崎圭太騎手 3人気

 

2019年皐月賞を勝ったのは、1人気のサートゥルナーリア。

 

サートゥルナーリアは、阪神1600mの2歳新馬戦、京都1800mの萩ステークス、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスを3連勝し、皐月賞に直行してきたキャロットファームが馬主の馬。

 

サートゥルナーリアの同枠のラストドラフトは、中山2000mの京成杯を勝った後、中山2000mの報知杯弥生賞に出走して7着(1着対角)に敗れていた社台レースホースが馬主の馬。

 

2着に入ったヴェロックスは、東京1800mの東京スポーツ杯2歳ステークスで4着に敗れた後、京都2000mのリステッド競走の若駒ステークスと阪神2000mのリステッド競走の若葉ステークスを連勝してきた金子真人ホールディングスが馬主の馬。

 

ヴェロックスの同枠のニシノデイジーは、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスで3着、中山2000mの報知杯弥生賞で4着だった馬。

 

3着に入ったダノンキングリーは、東京1600mの2歳新馬戦、中山1600mの2歳500万下条件戦の ひいらぎ賞、東京1800mの共同通信杯を3連勝していた馬。

 

2022年皐月賞(18頭立て)

1着 ジオグリフ 牡3 57㎏ 7枠14番(逆5番) 福永祐一騎手 5人気

2着 イクイノックス 牡3 57㎏ 8枠18番(逆1番)ルメール騎手 3人気

3着 ドウデュース 牡3 57㎏ 6枠12番(逆7番)武豊騎手 1人気

 

2022年皐月賞を勝ったのは、5人気のジオグリフ。

 

ジオグリフは、札幌1800mの札幌2歳ステークスを勝った後、阪神1600mの2歳G1の朝日杯フューチュリティステークスで5着、東京1800mの共同通信杯で2着になっていたサンデーレーシングが馬主の馬。

 

ジオグリフの同枠は、ラーグルフとビーアストニッシドの2頭。

 

ラーグルフは、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスで3着になった後、報知杯弥生賞ディープインパクト記念で11着に惨敗していた馬。

 

ビーアストニッシドは、東京1800mの共同通信杯で3着に敗れた後、中山1800mのフジテレビ賞スプリングステークスで1着になっていた馬。

 

2022年皐月賞で2着になったイクイノックスは、新潟1800mの2歳新馬戦と東京1800mの東京スポーツ杯2歳ステークスを勝って、皐月賞に直行してきた馬。

 

イクイノックスの同枠馬は、マテンロウレオとデシエルトの2頭。

マテンロウレオは、中京2000mのきさらぎ賞を勝った後、中山2000mの報知杯弥生賞ディープインパクト記念で10着に敗れていた馬。

 

デシエルトは、阪神2000mのリステッド競走の若葉ステークスを勝利し、皐月賞の優先出走権を獲得していた馬。

 

3着に入った1人気のドウデュースは、小倉1800mの2歳新馬戦、東京1800mのリステッド競走のアイビーステークス、阪神1600mの2歳G1の朝日杯フューチュリティステークスを3連勝した後、中山2000mの報知杯弥生賞ディープインパクト記念に出走して2着になっていた馬。

 

2017年皐月賞は、毎日杯1着馬のアルアインが1着、2着がアーリントンカップを勝ったペルシアンナイトで、この2頭は皐月賞のステップレースに出走していなかった馬である。

 

2019年皐月賞は、2歳G1のホープフルステークスを勝ち、皐月賞に直行してきたサートゥルナーリアが1着、2着が皐月賞のステップレースの若葉ステークスを勝ってきたヴェロックスだった。

 

2022年皐月賞は、共同通信杯2着の後、皐月賞に直行してきたジオグリフが1着、2着は東京スポーツ杯2歳ステークスを勝って、皐月賞に直行してきたイクイノックスが入っている。

 

唯一、皐月賞のステップレースで連対したヴェロックスは、リステッド化された初年度の若葉ステークスを勝ってきた馬だった。

結論

今年、皐月賞に至るまでのレースで、変更があったのはスプリングステークスである。

 

フジテレビ賞スプリングステークスからスプリングステークスにレース名が変わり、2回中山8日から2回中山6日に日程が変更されている。

 

2011年に東日本大震災の影響で、阪神1800mで行われたスプリングステークスは、フジテレビ賞の冠が付かずに行われた。

 

2011年皐月賞は、スプリングステークスを勝ったオルフェーヴルが勝っていることから、今年の皐月賞で、フジテレビ賞の冠が外れたスプリングステークスを勝ったピコチャンブラックと同枠になったクロワデュノールを軸とする。(あくまでも、連軸としての評価)

 

相手は、ジョバンニ、マスカレードボール、ジーティーアダマン、フクノブルーレイク、ミュージアムマイルあたり。