
桜花賞、皐月賞、NHKマイルカップ、優駿牝馬、東京優駿は、昨年、定量戦から馬齢戦に変更された。
そして、馬齢戦変更初年度の昨年、皐月賞は除外馬を発生させている。
皐月賞で除外となったダノンデサイルは、3歳G1の頂点である東京優駿を制したが、昨年の皐月賞馬のジャスティンミラノは東京優駿で2着に敗れた後、屈腱炎を発症し、引退に追い込まれている。
異例ずくめだった昨年の牡馬3歳クラシックから1年経ち、今年の皐月賞が始まる。
今年の皐月賞は、どの馬が覇者となるのだろうか?
重賞競走の変更からの考察
昨年、5回中山9日に行われていたホープフルステークスが、今年は5回中山7日に行われることが発表されている。
また、昨年、5回東京5日開催だった東京スポーツ杯2歳ステークスが、今年は5回東京6日(土→休・月)開催となっている。
ホープフルステークスは、G1に昇格した2017年以降、2020年を除き、5回中山9日に行われていたレース。
そして、東京スポーツ杯2歳ステークスは、G2に昇格後、5回東京5日で行われているレースで、G2化されてから、初の5回東京6日開催となる。
2020年に行われたホープフルステークスは、今年と同じ5回中山7日に行われたレースで、2020年に行われた東京スポーツ杯2歳ステークスは、5回東京5日から5回東京7日に日程移動があったレースである。
つまり、ホープフルステークスと東京スポーツ杯2歳ステークスという観点で見れば、今年と2020年は似ていることになる。
まずは、2020年皐月賞の結果を見てみる。
2020年皐月賞(18頭立て)
1着 コントレイル 牡3 57㎏ 1枠1番(逆18番)福永祐一騎手 1人気
2着 サリオス 牡3 57㎏ 4枠7番(逆12番)レーン騎手 3人気
3着 ガロアクリーク 牡3 57㎏ 8枠16番(逆3番)ヒューイットソン騎手 8人気
2020年皐月賞を制したのは、1人気のコントレイル。
コントレイルは、 阪神1800mの2歳新馬戦、東京1800mの東京スポーツ杯2歳ステークス、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスを3連勝した後、皐月賞のステップレースに出走せず、皐月賞に直行してきたノースヒルズ生産の馬。
コントレイルの同枠のレクセランスは、京都1800mの2歳新馬戦、京都2000mの3歳1勝クラスの福寿草特別、 阪神2200mのリステッド競走のすみれステークスを3連勝し、皐月賞に直接出走してきた9人気の馬。
2着に入ったサリオスは、東京1600mの2歳新馬戦、東京1600mのサウジアラビアロイヤルカップ、阪神1600mの2歳G1の朝日杯フューチュリティステークスを3連勝し、皐月賞に直行してきたノーザンファーム生産、シルクレーシングが馬主の馬。
サリオスの同枠のウインカーネリアンは、2戦目の福島1800mの2歳未勝利戦で初勝利を挙げた後、6戦目の報知杯弥生賞ディープインパクト記念で8着に敗れ、皐月賞の優先出走権を獲得できなかったものの、中山1800mの3歳1勝クラスを勝利し、賞金を加算して、皐月賞出走が叶ったブービー人気の馬。
3着に入ったガロアクリークは、東京2000mの2歳新馬戦1着、中山2000mの2歳G1のホープフルステークス11着、中山2200mの3歳1勝クラスの水仙賞4着の後、フジテレビ賞スプリングステークスに出走して1着となり、皐月賞に優先出走権で出走してきた馬。
2020年皐月賞で連対した2頭と同枠馬は、皐月賞の指定レースで優先出走権を獲得していなかった馬である。
ただし、ホープフルステークスと朝日杯フューチュリティステークスで1着になった地方馬は、皐月賞に優先的に出走できるので、コントレイルとサリオスは地方馬優先出走ルートを使ってきたといえるだろう。
今年の皐月賞に登録してきたクロワデュノールは、2020年皐月賞馬となったコントレイルと似た戦歴を持つ馬である。
皐月賞2025の出馬表
皐月賞2025の登録馬は21頭。
21頭の登録馬のうち、ローランドバローズが回避、アスクシュタインとマテンロウバローズが除外され、18頭立て(フルゲート)となっている。
枠 | 馬番 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 調教師 | 馬主 |
1枠 | 1番 | ニシノエージェント | 牡3 | 57.0kg | 津村 明秀 | 千葉 直人 | 西山 茂行 |
1枠 | 2番 | エリキング | 牡3 | 57.0kg | 川田 将雅 | 中内田 充正 | 藤田 晋 |
2枠 | 3番 | キングスコール | 牡3 | 57.0kg | 藤岡 佑介 | 矢作 芳人 | DMMドリームクラブ(株) |
2枠 | 4番 | ジュタ | 牡3 | 57.0kg | 坂井 瑠星 | 矢作 芳人 | (株)ラ・メール |
3枠 | 5番 | ジョバンニ | 牡3 | 57.0kg | 松山 弘平 | 杉山 晴紀 | KRジャパン |
3枠 | 6番 | マスカレードボール | 牡3 | 57.0kg | 横山 武史 | 手塚 貴久 | (有)社台レースホース |
4枠 | 7番 | フクノブルーレイク | 牡3 | 57.0kg | 松岡 正海 | 竹内 正洋 | 福島 祐子 |
4枠 | 8番 | ジーティーアダマン | 牡3 | 57.0kg | 岩田 望来 | 上村 洋行 | 田畑 利彦 |
5枠 | 9番 | ピコチャンブラック | 牡3 | 57.0kg | 石橋 脩 | 上原 佑紀 | 石部 美恵子 |
5枠 | 10番 | クロワデュノール | 牡3 | 57.0kg | 北村 友一 | 斉藤 崇史 | (有)サンデーレーシング |
6枠 | 11番 | ミュージアムマイル | 牡3 | 57.0kg | J.モレイラ | 高柳 大輔 | (有)サンデーレーシング |
6枠 | 12番 | ドラゴンブースト | 牡3 | 57.0kg | 丹内 祐次 | 藤野 健太 | 水谷 美穂 |
7枠 | 13番 | アロヒアリイ | 牡3 | 57.0kg | 横山 和生 | 田中 博康 | 鈴木 剛 |
7枠 | 14番 | カラマティアノス | 牡3 | 57.0kg | 戸崎 圭太 | 奥村 武 | (有)サンデーレーシング |
7枠 | 15番 | ヴィンセンシオ | 牡3 | 57.0kg | C.ルメール | 森 一誠 | (有)キャロットファーム |
8枠 | 16番 | サトノシャイニング | 牡3 | 57.0kg | 西村 淳也 | 杉山 晴紀 | 里見 治 |
8枠 | 17番 | ファウストラーゼン | 牡3 | 57.0kg | 杉原 誠人 | 西村 真幸 | 宮崎 俊也 |
8枠 | 18番 | マジックサンズ | 牡3 | 57.0kg | 佐々木 大輔 | 須貝 尚介 | (有)サンデーレーシング |
5枠はキタサンブラック産駒が集まった枠、2枠は矢作芳人厩舎の管理馬が集まった枠となっている。
若葉ステークス2着馬不在からの考察
若葉ステークスで2着に入り、皐月賞への優先出走権を獲得していたローランドバローズが、挫跖のため出走を回避した。
馬齢表記が変更された2001年以降で、若葉ステークス2着馬が不在の皐月賞は、2017年、2019年、2022年、そして、今年の4回。
2017年皐月賞(18頭立て)
1着 アルアイン 牡3 57㎏ 6枠11番(逆8番) 松山弘平騎手 9人気
2着 ペルシアンナイト 牡3 57㎏ 4枠7番(逆12番)M.デムーロ騎手 4人気
3着 ダンビュライト 牡3 57㎏ 5枠10番(逆9番)武豊騎手 12人気
2017年皐月賞の1人気は、デビュー戦からフラワーカップまで3連勝してきた牝馬のファンディーナだったが、ファンディーナは7着に敗れている。
2017年皐月賞を制したのは、9人気のアルアイン。
アルアインは、京都1600mの2歳新馬戦と阪神1600mの2歳500万下条件戦の千両賞を連勝した後、京都1600mの日刊スポーツ賞シンザン記念で6着、阪神1800mの毎日杯で1着になっていたサンデーレーシングが馬主の3勝馬。(皐月賞のステップレースは使っていない馬)
アルアインの同枠のアメリカズカップは、京都1800mのきさらぎ賞を勝った後、皐月賞に直行していた馬。
2017年皐月賞で2着に入ったペルシアンナイトは、京都1600mの日刊スポーツ賞シンザン記念で3着に敗れた後、阪神1600mのアーリントンカップを勝って、皐月賞に直行してきた追分ファーム生産の3勝馬。
ペルシアンナイトの同枠馬は、1人気の牝馬のファンディーナ。
3着に入ったダンビュライトは、報知杯弥生賞で3着になり、皐月賞の優先出走権を獲得していたサンデーレーシングが馬主の1勝馬。
2019年皐月賞(18頭立て)
1着 サートゥルナーリア 牡3 57㎏ 6枠12番(逆7番) ルメール騎手 1人気
2着 ヴェロックス 牡3 57㎏ 4枠7番(逆12番)川田将雅騎手 4人気
3着 ダノンキングリー 牡3 57㎏ 2枠4番(逆15番)戸崎圭太騎手 3人気
2019年皐月賞を勝ったのは、1人気のサートゥルナーリア。
サートゥルナーリアは、阪神1600mの2歳新馬戦、京都1800mの萩ステークス、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスを3連勝し、皐月賞に直行してきたキャロットファームが馬主の馬。
サートゥルナーリアの同枠のラストドラフトは、中山2000mの京成杯を勝った後、中山2000mの報知杯弥生賞に出走して7着(1着対角)に敗れていた社台レースホースが馬主の馬。
2着に入ったヴェロックスは、東京1800mの東京スポーツ杯2歳ステークスで4着に敗れた後、京都2000mのリステッド競走の若駒ステークスと阪神2000mのリステッド競走の若葉ステークスを連勝してきた金子真人ホールディングスが馬主の馬。
ヴェロックスの同枠のニシノデイジーは、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスで3着、中山2000mの報知杯弥生賞で4着だった馬。
3着に入ったダノンキングリーは、東京1600mの2歳新馬戦、中山1600mの2歳500万下条件戦の ひいらぎ賞、東京1800mの共同通信杯を3連勝していた馬。
2022年皐月賞(18頭立て)
1着 ジオグリフ 牡3 57㎏ 7枠14番(逆5番) 福永祐一騎手 5人気
2着 イクイノックス 牡3 57㎏ 8枠18番(逆1番)ルメール騎手 3人気
3着 ドウデュース 牡3 57㎏ 6枠12番(逆7番)武豊騎手 1人気
2022年皐月賞を勝ったのは、5人気のジオグリフ。
ジオグリフは、札幌1800mの札幌2歳ステークスを勝った後、阪神1600mの2歳G1の朝日杯フューチュリティステークスで5着、東京1800mの共同通信杯で2着になっていたサンデーレーシングが馬主の馬。
ジオグリフの同枠は、ラーグルフとビーアストニッシドの2頭。
ラーグルフは、中山2000mの2歳G1のホープフルステークスで3着になった後、報知杯弥生賞ディープインパクト記念で11着に惨敗していた馬。
ビーアストニッシドは、東京1800mの共同通信杯で3着に敗れた後、中山1800mのフジテレビ賞スプリングステークスで1着になっていた馬。
2022年皐月賞で2着になったイクイノックスは、新潟1800mの2歳新馬戦と東京1800mの東京スポーツ杯2歳ステークスを勝って、皐月賞に直行してきた馬。
イクイノックスの同枠馬は、マテンロウレオとデシエルトの2頭。
マテンロウレオは、中京2000mのきさらぎ賞を勝った後、中山2000mの報知杯弥生賞ディープインパクト記念で10着に敗れていた馬。
デシエルトは、阪神2000mのリステッド競走の若葉ステークスを勝利し、皐月賞の優先出走権を獲得していた馬。
3着に入った1人気のドウデュースは、小倉1800mの2歳新馬戦、東京1800mのリステッド競走のアイビーステークス、阪神1600mの2歳G1の朝日杯フューチュリティステークスを3連勝した後、中山2000mの報知杯弥生賞ディープインパクト記念に出走して2着になっていた馬。
2017年皐月賞は、毎日杯1着馬のアルアインが1着、2着がアーリントンカップを勝ったペルシアンナイトで、この2頭は皐月賞のステップレースに出走していなかった馬である。
2019年皐月賞は、2歳G1のホープフルステークスを勝ち、皐月賞に直行してきたサートゥルナーリアが1着、2着が皐月賞のステップレースの若葉ステークスを勝ってきたヴェロックスだった。
2022年皐月賞は、共同通信杯2着の後、皐月賞に直行してきたジオグリフが1着、2着は東京スポーツ杯2歳ステークスを勝って、皐月賞に直行してきたイクイノックスが入っている。
唯一、皐月賞のステップレースで連対したヴェロックスは、リステッド化された初年度の若葉ステークスを勝ってきた馬だった。
結論
今年、皐月賞に至るまでのレースで、変更があったのはスプリングステークスである。
フジテレビ賞スプリングステークスからスプリングステークスにレース名が変わり、2回中山8日から2回中山6日に日程が変更されている。
2011年に東日本大震災の影響で、阪神1800mで行われたスプリングステークスは、フジテレビ賞の冠が付かずに行われた。
2011年皐月賞は、スプリングステークスを勝ったオルフェーヴルが勝っていることから、今年の皐月賞で、フジテレビ賞の冠が外れたスプリングステークスを勝ったピコチャンブラックと同枠になったクロワデュノールを軸とする。(あくまでも、連軸としての評価)
相手は、ジョバンニ、マスカレードボール、ジーティーアダマン、フクノブルーレイク、ミュージアムマイルあたり。