牝馬2冠馬出走からの考察
桜花賞、オークス、秋華賞を勝利した馬は、牝馬3冠馬といわれる。
ただし、クラシックといわれる桜花賞とオークスと異なり、秋華賞は3歳牝馬G1に過ぎない。
1着賞金から見ても、秋華賞は桜花賞とオークスよりも賞金額が低く設計されている。
さて、今年の秋華賞には、桜花賞とオークスに加え、阪神ジュベナイルフィリーズという2歳牝馬G1を勝っているリバティアイランドが秋華賞のステップレースに出走せず、直接、秋華賞に登録してきた。
過去に、阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、オークスを勝った馬が、秋華賞に出走してきたケースは、ブエナビスタしかいない。
では、ブエナビスタが出走した2009年秋華賞の結果を見てみる。
2009年秋華賞(4回京都4日・18頭立て)
1着 レッドディザイア 牝3 55㎏ 3枠5番(逆14番)四位洋文騎手 2人気
前走 関西テレビ放送賞ローズステークス(阪神1800m・指定・馬齢)1人気2着
前々走 オークス(東京2400m)2人気2着
1着同枠 ヴィーヴァヴォドカ 牝3 55㎏ 村田一誠騎手 16人気
前走 紫苑ステークス(OP・中山2000m・指定・馬齢)3人気15着
前々走 オークス(東京2400m)9人気10着(2着同枠)
2着 ブロードストリート 牝3 55㎏ 6枠12番(逆7番)藤田伸二騎手 3人気
前走 関西テレビ放送賞ローズステークス(阪神1800m・指定・馬齢)5人気1着
前々走 オークス(東京2400m)6人気4着
2着同枠 ワンカラット 牝3 55㎏ 藤岡佑介騎手 15人気
前走 関西テレビ放送賞ローズステークス(阪神1800m・指定・馬齢)6人気10着
前々走 NHKマイルカップ(東京1600m)6人気6着
3着(2着降格)ブエナビスタ 牝3 55㎏ 2枠3番(逆16番)安藤勝己騎手 1人気
前走 札幌記念(札幌2000m・特指・定量)1人気2着
前々走 オークス(東京2400m)1人気1着
2009年秋華賞を制したレッドディザイアは、別定戦のエルフィンステークスを勝った後、桜花賞2着、オークス2着、関西テレビ放送賞ローズステークス2着と3戦連続2着になっていた2勝馬。
レッドディザイアの同枠のヴィーヴァヴォドカは、別定戦のフラワーカップを勝った後、桜花賞12着、オークス10着、紫苑ステークス15着に敗れていた馬で、オークスでもレッドディザイアの同枠に配置されていた。
2着になったブロードストリートは、別定戦の忘れな草賞で2着、指定戦のスイートピーステークスで1着、オークスで4着、関西テレビ放送賞ローズステークスで1着になっていた4勝馬。
ブロードストリートの同枠のワンカラットは、報知杯フィリーズレビュー1着の後、桜花賞に出走し4着に入り、オークスの優先出走権を獲りながら、オークスに出走せず、NHKマイルカップに出走して6着、そして、関西テレビ放送賞ローズステークスに出走して10着に惨敗していた馬。
2着降格の3着になったブエナビスタは、新馬戦から秋華賞まで1人気を維持していた馬で、阪神ジュベナイルフィリーズ1着の後、チューリップ賞1着、桜花賞1着、オークス1着、札幌記念2着の成績を残していた5勝馬。
ブエナビスタとリバティアイランドの共通点は、新馬戦から秋華賞まで1人気を維持していたこと(リバティアイランドは秋華賞に出走した場合、1人気が予想される)、阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、オークスを勝っていること。
ブエナビスタとリバティアイランドの相違点は、古馬戦の札幌記念の出走の有無。
リバティアイランドは、アルテミスステークスで2着(阪神ジュベナイルフィリーズの地方馬優先出走ルート)に入り、阪神ジュベナイルフィリーズで1着。
阪神ジュベナイルフィリーズ1着後に、直接、桜花賞に出走して1着。(桜花賞の地方馬優先出走ルートは過去1年間の芝G1の1着馬という条件もあり)
桜花賞1着後に、オークスに出走して1着。(桜花賞5着以内馬はオークスへの優先出走権を持つ)
オークス1着後は、秋華賞へ直接出走予定。(秋華賞の地方馬優先出走ルートに過去1年間の芝G1の1着馬という条件に合致)
リバティアイランドは、手順を踏んでいる馬である。
秋華賞2023の出馬表
秋華賞2023の登録馬は23頭。
23頭の登録馬のうち、シランケドとシンリョクカが回避、キミノナハマリアとミタマが除外、フェアエールングが抽選で外れ、18頭立てとなった。
枠 | 馬番 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 調教師 | 馬主 |
1枠 | 1番 | フェステスバント | 牝3 | 55.0kg | 酒井 学 | 藤岡 健一 | 吉田 照哉 |
1枠 | 2番 | ハーパー | 牝3 | 55.0kg | C.ルメール | 友道 康夫 | エムズレーシング |
2枠 | 3番 | マラキナイア | 牝3 | 55.0kg | 池添 謙一 | 吉岡 辰弥 | (有)社台レースホース |
2枠 | 4番 | コナコースト | 牝3 | 55.0kg | 鮫島 克駿 | 清水 久詞 | (有)サンデーレーシング |
3枠 | 5番 | ドゥーラ | 牝3 | 55.0kg | 斎藤 新 | 高橋 康之 | サイプレスホールディングス(同) |
3枠 | 6番 | リバティアイランド | 牝3 | 55.0kg | 川田 将雅 | 中内田 充正 | (有)サンデーレーシング |
4枠 | 7番 | マスクトディーヴァ | 牝3 | 55.0kg | 岩田 望来 | 辻野 泰之 | (有)社台レースホース |
4枠 | 8番 | モリアーナ | 牝3 | 55.0kg | 横山 典弘 | 武藤 善則 | 高橋 文男 |
5枠 | 9番 | ミシシッピテソーロ | 牝3 | 55.0kg | 石川 裕紀人 | 畠山 吉宏 | 了德寺健二ホールディングス(株) |
5枠 | 10番 | グランベルナデット | 牝3 | 55.0kg | 松山 弘平 | 大竹 正博 | DMMドリームクラブ(株) |
6枠 | 11番 | キタウイング | 牝3 | 55.0kg | 江田 照男 | 小島 茂之 | (有)ミルファーム |
6枠 | 12番 | ドゥアイズ | 牝3 | 55.0kg | 西村 淳也 | 庄野 靖志 | (株)G1レーシング |
7枠 | 13番 | ラヴェル | 牝3 | 55.0kg | 坂井 瑠星 | 矢作 芳人 | (有)キャロットファーム |
7枠 | 14番 | コンクシェル | 牝3 | 55.0kg | 幸 英明 | 清水 久詞 | 前田 晋二 |
7枠 | 15番 | ヒップホップソウル | 牝3 | 55.0kg | 横山 武史 | 木村 哲也 | (有)社台レースホース |
8枠 | 16番 | ピピオラ | 牝3 | 55.0kg | 藤岡 康太 | 武 幸四郎 | ストレートレーシング |
8枠 | 17番 | ソレイユヴィータ | 牝3 | 55.0kg | 武 豊 | 杉山 晴紀 | 杉山 忠国 |
8枠 | 18番 | エミュー | 牝3 | 55.0kg | M.デムーロ | 和田 正一郎 | 前田 幸治 |
母の父がキングカメハメハのマラキナイアとコナコーストが、2枠に集められている。
北海道新聞杯クイーンステークス1着馬出走からの考察
今年の北海道新聞杯クイーンステークスの1着馬は、3歳馬のドゥーラ。
そのドゥーラが、秋華賞2023に出走してきた。
北海道新聞杯クイーンステークスは、2000年に出走条件が4歳以上に変更されたレースで、2000年以降に、3歳馬が北海道新聞杯クイーンステークスを制したのが、2003年、2010年、2011年、2012年、2017年の5回。
この5回の北海道新聞杯クイーンステークス優勝馬は、いずれも、秋華賞に出走している。
秋華賞2023に出走するドゥーラは、札幌2歳ステークスを勝利し、オークスで3着に入った経験を持っているが、2003年、2010年、2011年、2012年、2017年の5回の北海道新聞杯クイーンステークス優勝馬で、ドゥーラに一番近いのが、2012年北海道新聞杯クイーンステークス1着馬のアイムユアーズだと思う。
アイムユアーズは、報知杯フィリーズレビュー1着馬で、阪神ジュベナイルフィリーズ2着、桜花賞3着、オークス4着歴も持っている。
3歳G1の3着馬という共通点が、アイムユアーズとドゥーラにはある。
では、アイムユアーズが出走した2012年秋華賞の結果を見てみる。
2012年秋華賞(4回京都5日・18頭立て)
1着 ジェンティルドンナ 牝3 55㎏ 7枠14番(逆5番)岩田康誠騎手 1人気
前走 関西テレビ放送賞ローズステークス(阪神1800m・指定・馬齢)1人気1着(ゾロ目)
前々走 オークス(東京2400m)3人気1着
2着 ヴィルシーナ 牝3 55㎏ 1枠1番(逆18番)内田博幸騎手 2人気
前走 関西テレビ放送賞ローズステークス(阪神1800m・指定・馬齢)2人気2着(ゾロ目)
前々走 オークス(東京2400m)2人気2着
3着 アロマティコ 牝3 55㎏ 1枠2番(逆17番)佐藤哲三騎手 6人気
前走 3歳以上1600万下条件戦・ムーンライトハンデキャップ(阪神2000m)1人気3着
前々走 3歳以上1000万下条件戦・西海賞(小倉1800m)1人気1着
6着 アイムユアーズ 牝3 55㎏ 8枠17番(逆2番)池添謙一騎手 3人気
前走 北海道新聞杯クイーンステークス(札幌1800m・特指・別定)1人気1着
前々走 オークス(東京2400m)4人気4着
2012年秋華賞は、1人気に支持されたジェンティルドンナが牝馬3冠を達成している。
ジェンティルドンナは、オークスを勝った後、関西テレビ放送賞ローズステークスに出走して、ゾロ目の1着になっている馬。
2着になったヴィルシーナは、デイリー杯クイーンカップ1着から桜花賞2着に入り、オークス2着、関西テレビ放送賞ローズステークス2着になっていた馬。
3着に入ったアロマティコは、小倉1800mの3歳以上1000万下条件戦の西海賞を1人気で勝った後、阪神2000mの3歳以上1600万下条件戦のムーンライトハンデキャップで1人気になったものの3着に敗れていたノーザンファーム生産馬。
桜花賞3着、オークス4着、北海道新聞杯クイーンステークス1着のアイムユアーズは6着に敗れたが、3着になっていたアロマティコの対角配置になっていた。
結論
今年の秋華賞のポイントは、阪神競馬場開催から京都競馬場への開催場所変更もあるが、ステップレースの紫苑ステークスのG2昇格が大きいと思われる。
2018年に、チューリップ賞がG3からG2に昇格されたが、G2昇格初年度のチューリップ賞で1着になっていたラッキーライラックが桜花賞で2着、チューリップ賞で3着になっていたリリーノーブルが桜花賞で3着になっていた。
このことからも、紫苑ステークス組には気を付けたいところ。
ただし、紫苑ステークス1着馬のモリアーナは、関西テレビ放送賞ローズステークス1着馬のマスクトディーヴァと同枠配置になっている。
これを封じ込めと見るかは個人の見解次第であろう。
ウマゾーは封じ込めと考えるが…
モリアーナはないと考えると、紫苑ステークス組では、2着馬のヒップホップソウルあるいは紫苑ステークス1人気のグランベルナデットが浮上する。
そこで、リバティアイランドからヒップホップソウル、グランベルナデット、マラキナイア、コナコーストあたりに流してみる。